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以「…あと、皆泣いてた……
おまささんって人も、お小夜さんも……
志乃が通いつめてた甘味処の人達皆……
龍馬さんや、中岡さんも……
龍馬さんなんか…大事な時期なのに…
ここに来るって…説得するの大変だったんだから…」
以蔵の声が段々小さくなり、
震えているのは気のせいではない。
必死で、涙をこらえ、喋り続ける。
以「それだけ……愛されてるのに……
何で死んじゃったんだよ……
志乃は、生きなきゃダメだったんだ…
なのに……なんで……」
こらえきれなくなり、ぽたりと
涙が一粒目からこぼれ落ちた。
それに続いてぽたぽたと
とどまることなくこぼれ落ち、
足を覆っている着物に沢山のシミを作る。
半「…以蔵の言う通りです
貴女は、生きなければいけなかったんですよ…
生きて生きて、生き抜かなければ…
いけなかったんです
……次に会えたら説教ですね……」
以「…僕からも…一言言わせてもらうからね……」
ーーーお説教は、勘弁だなぁ…
先生やえーたろーたちから
食らったばっかなのに。
……二人はまだ、来ちゃダメだからねーーー…
風にのせて、そんな志乃の声が聞こえた気がした。
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