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九『く……ッ』
志『……ッ?!九一?!』
遠くでお腹に手を当て膝をついた九一に
急いで目の前の敵を斬り捨て駆け寄る。
背中からも広がる血は、
1箇所から広がっている為、
銃弾を受けたと考えられる。
九『……すまん……志乃』
志『九一…?』
九『……俺は…お前が好きだ……
だから……』
袂から短刀を取り出しながら言う。
九『一人に、したくなかった……
………志乃……《来世は信じるか?》』
最期に一度、薄く微笑んで
九一はお腹に刃を当て、
深く突き刺す。それをゆっくりと横に動かし
地面に倒れ落ちた。
志『え……』
志乃は呆然としたまま立ち尽くす。
九『ごめ、ん……な……』
地面に倒れたまま目だけを志乃を見たきり、
その瞳に光が宿ることはなかった。
志『く、いち……』
元治元年7月19日
入江九一 切腹し死亡
享年28
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