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一「…来世では、優しくすることだな」
新「あ、おい斎藤!」
すたすたとその場を後にするはじめを
急いで追って、二人は土方たちの
元へ戻って行った。
翌日、晋作は志乃の遺体と共に長州へと帰って行った。
志乃の遺体は松陰、稔麿の隣に埋葬された。
玄瑞や、九一の墓もその場に作られた。
晋作は重い足を動かし、毎日その場所へ行く。
墓参りをしに行くのは晋作だけではなく、
松下村塾に一緒に通っていた、
伊藤博文や山縣有朋、桂小五郎も。
この三人は晋作のように、毎日来るわけではないが、
定期的に通っている。
そして、今日は
「………志乃」
「残念ですね……」
志乃や稔麿と仲が良かった以蔵と、
その師の武市半平太が来た。
以「…馬鹿だな」
以蔵は懐から団子の包みを出し
志乃の墓に供える。
以「……おまささんって人の…抹茶団子…
志乃、前…好きだって言ってたから…
頼んで特別にもらってきた…」
志乃の墓の前でしゃがみ、
話しかけるようにそう呟いた。
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