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玄関の扉を激しく揺すってベルを鳴らさない限り
家に侵入したところで耳の遠い老婆は気づかない。
高鳴る胸を押さえつつ
僕はそっと階段を上る。
先日と同じように
息をひそめて
暗い廊下を突き当たりの部屋まで歩いた。
マリアの部屋に近づいてくるにつれ
心臓が早鐘のように打った。
そっとドアノブを回す――。
同時に。
汗ばむ片手は
ポケットの中の折りたたみ式ナイフを握っていた。
証明して見せる。
僕が君のために
どこまでできるか――。
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