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「今まで僕は、欲しいと思ったものは全て自分のものにして来ました。たとえどんな手を使ってもね…。
人間なんて所詮、金と権力には敵わない。
それは藤森部長が一番良く知っておられる事ではないですか?」
不敵に笑う周防と俺の視線が激しく交差する。
コイツ…やっぱり…そう思った。
この男は…何もかも知っている。
俺の秘密も何もかも。
「周防さん、あなたの本当の目的は何ですか?」
俺の質問に周防は薄っすら笑いを浮かべながら答える。
俺の予想通りの答えを。
「もうお気づきなんでしょう?
あなたは僕と、とても良く似ているはずだ。
物事の考え方も…なにもかもがね」
「意味が分かりませんが…」
「僕が何も知らないと思っているんですか?
藤森部長…あなたのご実家は…」
「関係ない事です」
まるで火花が散っているかのような俺と周防のやり取りを、黙って聞いていた倉田が割って入る。
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