第1話

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そう言えば、わたし、緋英君のこと何も知らないかもしれない。 付き合っていると言っても、直接二人切りで会ったのは五回ほどしかないんだもの。 一緒に食事をしたことはあるけど、パスタだったりお好み焼きだったり軽い食事ばかりだ。 お好み焼きに至っては、如月君の家でお好み焼きパーティーをしたと聞いて、羨ましがったわたしに気を使った緋英君が、学校を休んでまで名古屋に来て連れて行ってくれたんだっけ。 お好み焼きを食べたってことは、卵アレルギーじゃないね。 好きなものはモカとマンデリンのブレンドコーヒー。 大事なものは暴走族『疾風』のメンバー。反対にチームには無くてはならない人物らしい。 ってヒヨコちゃんと小春ちゃんが言っていた。 バイクツーリングが大好き。見かけに寄らずスピード狂。 そう言えばミステリー小説をよく、読んでいるな。そのうつむき加減の横顔が絶品。 顔が綺麗。 字が綺麗。 指も綺麗。 無駄にキラキラした瞳が綺麗。琥珀のような瞳は生れながらにして宝石を身につけている感じ。 声がいい。低くて優しい声。
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