407人が本棚に入れています
本棚に追加
機嫌が悪くなった時に出来る眉間の皺さえ色気がある。
わたしの前では機嫌が悪くなることは無いけど、如月君や星夜君と一緒いる時はいつも皺が寄っている。
その表情は緊張感があって迂闊に近寄れない。暴走族の副総長の顔になってるの。それを遠巻きに見て萌えているわたし。
天は彼に二物も三物も与えている。ご先祖様の優性遺伝子が全て集結されて出来た子なんだ。
それに男の子には珍しく、いい匂いがする。
この前の別れ際に駅のホームで抱きしめられて、あまりにもいい匂いがしたので、膝がカクンと折れそうになった。いきなり抱きしめられて、緋英君の思いがジンと伝わって来た。
新幹線に乗り込んでから、ドア越しに緋英君と見つめ合いながら泣いちゃったんだっけ。
「う……うっうっ」
思い出しただけで、涙が出て来た。
緋英君に好きなケーキを聞かなきゃいけないのに、泣いてなんかいられない。
ソファに放り投げたスマホを這いつくばって手にした。
少し、嗚咽を吐きながら、緋英君に電話をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!