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緋英君、わたしの朝、五時からの奇行に感激なんかしてくれて、こっちのほうこそ、その言葉にまた、涙が出て来た。
緋英君はいつもそうだ。サラリと優しい言葉をかけてくれて、わたしを励ましてくれる。
絶対に詰(なじ)ったりしない。
『何時だと思っているんだ』と吠えつかれても仕方がないのに。
わたしにとって、奇跡のような相手。
『今日、会えるの楽しみにしてるから。授業が終わり次第、新幹線でそっちに行く』
「分かった。わたしも……楽しみにしているから……」
涙がドッと出て来た。
『沙耶香さん……泣いてるの?』
「ごめん。最近、緋英君を思い出すと、涙が出て来て止まらなくなるの」
『そんなこと言われると、今直ぐ名古屋へバイクで飛んで行きたくなるよ』
「ダメダメダメ。これ以上、緋英君に授業をサボらせるわけに行かないから。大学受験に支障が出ちゃうと大変だもの」
『いつも俺のこと一番に考えてくれてありがとう。俺の回りには自分のことを一番にしか考えられないヤツばかりだからさ。如月といい、星夜といい……そんな自分の彼女に何もできない自分にイラつく』
「十二時間後には会えるんだもの。それまで、我慢する。あっ!そうだ。わたし緋英君にまだ、言ってなかったよね」
『え?何?』
「Happy birthday緋英君!」
心を込めてスマホに向かいそう叫んだ。
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