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『あ……ありがとう。沙耶香さんて、いちいち反則技使うね。また、抱きしめたくなった』
その美声で抱きしめたくなっただなんて……
そう言うあなたこそ反則です。
膝がまた、カクンと折れそうになった。
『十二時間後、会えるの楽しみしてる』
電話を切ってからも緋英君の美声に、しばらくの間、余韻に浸っていた。
この時、必ず十二時間後には会えると信じて疑わなかった。
まさか、こんな難解な事件にわたし自身が巻き込まれるとは……思いも寄らなかった。
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