第1話

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『あ……ありがとう。沙耶香さんて、いちいち反則技使うね。また、抱きしめたくなった』 その美声で抱きしめたくなっただなんて……  そう言うあなたこそ反則です。 膝がまた、カクンと折れそうになった。 『十二時間後、会えるの楽しみしてる』 電話を切ってからも緋英君の美声に、しばらくの間、余韻に浸っていた。 この時、必ず十二時間後には会えると信じて疑わなかった。 まさか、こんな難解な事件にわたし自身が巻き込まれるとは……思いも寄らなかった。
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