第1話

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さっきと同じようにレポートを捲るが、それ以上の物が出て来ない。 ブッシュ・ド・ノエルの次にポイントが高いケーキたちはカフェ風味のエクレアとかスワン型のシュークリームとかマカロンといった具合。 ローソクを立てるバースディケーキとして出せる物じゃない。 無理して立てられないこともないけど…… なんかの漫才になりそう。 こんなものを出したら、緋英君、嫌がらせかと思うかも。 半分泣けてきた。 夕飯を手早く食べ終え、あれこれ2時間以上経過しているのにケーキが決まらない。 町に繰り出せば、ほっぺが落ちるくらいのデコレーションケーキが溢れているって言うのに…… パティシエとしてのプライドで、彼氏のケーキくらい、自分で作って上げたいじゃない? それが乙女心ってもんでしょ? なのに、この有様。 自分の不甲斐なさに涙が出て来た。
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