第1話

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『誕生日は、沙耶香さんのマンションで過ごしたい』 プレゼントは何がいいか尋ねて、彼から帰って来た返事がこれ。 『沙耶香さんと、穏やか時間を過ごすだけいいんだ。今の俺にとっては最高のプレゼントだと思ってる』 スマホから響いたいつもの美声。 穏やかな時間……? 誕生日プレゼントのリクエストは穏やかな時間…… 穏やか…… なに、この形容…… 緋英君の穏やかな時間って何よ? そもそも男の子と付き合ったことがないわたしに、分かるはずないじゃない。 女の子なら、美味しいケーキや、美味しい食事を食べながら、いろんなお喋りをするとか分かるけど。男の子ってどんなものなの? どんなものか分からないのに、 『うん。分かった』 と返事をした、わたしはバカだ。
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