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翌日、美穂の実家へ向かうため俺と美穂は新幹線に乗り込んだ。
「隼人さん…」
不安そうに俺を見上げた美穂の手をギュッと握りしめて駅に降り立つ。
緩やかな坂道を登って行くと、眼下に広がる大海原。
松の木に覆われた狭い小道を抜けて行くと小さな平屋の一軒家の庭に、
たくさんの花が植えられている。
その花で覆われた垣根の前で、草むしりをしている人の後ろ姿。
「お父さん…」
美穂の声に振り向いたその人は、俺の姿を見るなり不愉快そうに眉間にしわを寄せた。
「まだ何か用があるのか?
もうお前に話す事なんかないぞ」
再び背中を向けながら吐き出された言葉に美穂が申し訳なさそうに俺を見つめる。
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