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再び溢れ出した美穂の涙は、頬からポタポタと膝へと落ちて行く。
「…うちのお父さんね、昔は田舎の小さな株式会社の社長だった。
だけど、私が17歳の時に…自分の会社を失ったの。
それからのお父さんの人生は、体の弱いお母さんとまだ高校生だった私を守るために必死だった。
日雇いの仕事でも夜間工事の土方でも…何でもやってた…。
私はそんなお父さんの負担になりたくなくて大学進学もデザイン学校も諦めて…バイトで食い繋いで…独学でデザインの勉強をしてデザイナーになったの。
ようやくお父さんも小学校の用務員の再就職が出来て、今は安定してるけど…昨日初めて聞かされたの…。
あの時失ったお父さんの会社は…
FUJIホールディングスに買収されたんだって…」
美穂の言葉に俺は呆然としてしまった…。
さっきまで、美穂に対して感じてた怒りは絶望へと変わっていく。
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