新たな道へ

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しぶしぶ翔人から指を放してやると、ほっぺをすりすりと撫でながら、兄貴が言った。 「ああそうだ隼人、例の件は全部完了したから」 兄貴の言葉に倉田は不思議そうに俺を見上げる。 「隼人さん、例の件って…?」 「うん…。 A+LIVEをFUJIホールディングスに買収してもらった。 これでうちの会社もFUJIホールディングスの傘下に必然的になるけど…。 社長の解任をされるのは、うちの社長じゃなくて周防だ」 「隼人さん…」 「まぁ…俺も親父や周防と同じ金と権力で買収するような最低な男って事だけどな…。 それでも俺は今の会社も社長も…守りたかった。 もちろんお前もな」 そう言いながらも、あれほど使いたくなかった金と権力を使ってしまう自分は、やっぱり藤森家の人間なんだと自覚する。
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