全てを越えて

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「あなたに…何が分かるんですか…? 金と権力と…欲にまみれた世界で育って来たあなたに… 人の心の痛みなんて解るはずがない。 美穂との結婚は認めません。 どうしても結婚するのなら、美穂とは縁を切ります。 二度と顔を見せて欲しくない。 帰ってくれ」 「お父さん!」 怒りで震える拳を握りしめながら、踵を返しお義父さんはそのまま家の中に入って行った。 覚悟はしていたけど… やっぱり凹むな…。 ゆっくりと立ち上がって手と膝についた泥を払う俺の姿を、涙を零しながら見つめる美穂の頭をポンポンと叩いてやる。 「大丈夫。 まだ始まったばかりだろ? いつか必ず分かってもらえるよ」 ニコリと微笑む俺の肩にコツンと美穂はおでこをのせた。
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