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駅に向かって緩やかな坂道を下っていると
「待って!」と後ろから声が聞こえた。
「お母さん!」
振り返って言った美穂の言葉で、その人が美穂の母親である事を知る。
ハアハアと息を切らす母親に美穂は慌てて駆け寄って背中をさすっている。
「初めまして。
美穂さんとお付き合いさせて頂いております、藤森隼人と申します」
頭を下げた俺に、美穂の母親はニコリと微笑んで頭を下げた。
「お母さん、走っちゃダメでしょ…」
細くて今にも折れてしまいそうなきゃしゃな体なのに、しっかりと自己主張している可愛らしい瞳、少し小さめの鼻。
ああ…美穂はお母さん似なんだなとはっきり分かるくらい良く似てる。
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