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ふと気付くと近くで鹿が四頭、草を食べていました。二人は顔を見合わせ、よつんばいで近づきました。
鹿の傍まで近づくと、女の子は手に持っていた花を差し出してみました。
鹿はくんと一度匂いをかぎ、そしてもう一度鼻を近づけると、女の子の手まで噛まないようにやさしく花をはみました。
「食べたわ!おいしいかしら?」と、女の子が言うと。
「おいしいわよ」と、鹿が答えたものですから、男の子はびっくりして言いました。
「しゃべった!」
「あら、鹿がしゃべるの知らなかったの?」鹿が言いました。
「うん」と二人。
「生きてるものは、みんなしゃべれるわよ。あなたたち、生きものを見たことないの?」
二人は首を横に振りました。
「じゃあ、どこから来たの?」鹿は聞きました。
「わからない」
「わたしも。わからないけど、ここにいたの」
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