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二人が困り果て、もじもじしていると。
「あなたたち、まだ名前が無いのね。それでは未だ、この橋は渡れないわ」
「それじゃ、お姉さんが僕たちに名前を付けてください」
男の子は言いましたが、モーズグズは
「それは、わたしの役目ではないわ。この橋は、名前のあるものが最後に渡る橋。今はその時ではない」
モーズグズは、二人が来た川の上流の、あの天にも登れそうな木を指差し、
「イッグの木…世界の中心の木…世界を繋ぐ木」
それだけ言うと、また橋のたもとに座り込んでしまいました。
男の子は、たぶんもう何も話してくれないだろう。と思ったので、女の子に手を差し出して
「行こう」と言いました。
「うん」女の子は男の子の手をとり、歩きはじめました。
「川の向こうって、どんなとこかな?」とか「あの木ってイッグっていうんだね」など、男の子は女の子に話しかけながら川をさかのぼって歩きました。
男の子は何とか女の子を元気付けたかったのと、しゃべっていないと自分も不安になりそうな気がしたからです。
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