イッグの木

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 ほどなく、先ほどの泉が見えてきました。が、そこで二人は立ち止まってしまいました。  不思議なことに泉のそばに、前には無かった古い小屋があったのです。  二人は小屋まで走り出しました。小屋には窓が無く中は見えませんでしたが、何か音が聞こえてきました。 きぃきぃ…からから…ぱたぱた 「何か聞こえる。誰かいるみたいだよ」 「入ってみましょう」  二人は小屋の扉を、ちょっと力がいりましたが、開けて覗き込みました。 「誰かいますか?」男の子は声をかけました。 しばらく待っても返事がないので、もう一度今度は大きな声で言いました。 「こんにちは!」 「そんなに大声を出さなくても聞こえるよ」 おばあさんの声が帰ってくると、ランプが一つ灯りました。  ランプの光の中には、三人のおばあさんがいましたが、光はおばあさんのまわりだけ。天井など他は暗くて見えませんでした。 「おばあさんたちは、何をしてるの?」女の子が聞きました。 「何をしてるかって?見たままのとおりさ。糸を紡いだり、織ったり、切ったりしてるのさ」 答えてくれましたが、どのおばあさんが言ったのかわかりませんでした。すると。 「ところでお前さんたちは何者だい?」 やっぱり、どのおばあさんが言ったのかわかりません。  不思議に思いましたが、男の子は答えました。 「僕たち、自分たちの名前がわからないんです」image=476121894.jpg
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