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「ハァハァ……クソッ!」
俺、オルトロスはそう悪態をつき、気を失った仲間を背負い直す。
本来ここは巨木が立ち並び、人の大きさほどもある草花が生い茂る密林だったのだが今は見渡す限り焼け野原だ。
「どうするオルト! このままじゃ……」
「諦めるな! まだ俺たちは生きている! 希望を捨てるな!」
余りの恐怖に涙声になる仲間を励ます。
だがそれも意味をなさないだろう。
今動けるのは俺を含めたったの2人。
しかし2人とも気絶した仲間を背負っている。
そして一番最悪なのは今、俺たちがいる場所。
大量にあった背の高い木々は灼熱のブレスで焼かれ、今ではただの炭になり崩れさってしまった。
これでは身を隠せない。
つまり、敵の目を逃れられない。
空を見上げ、現在俺たちを中心に旋回し続けている敵を睨む。
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