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そしてそのまま膠着状態が続き今に至るのだが……。
俺が一体何をするべきか考えあぐねいているとついにヴァルゲールが動きを見せた。
一度大きく羽ばたくと此方に突っ込んできた。
おそらく俺たちが大きなアクションを起こせないことを理解しているのだろう。
相手は300メートルもある化け物。
人1人背負ってかわせる筈もない。
「ならばっ!」
俺は思いっきり背負っている仲間を地面に地面に降ろし、体を伏せた。
するとその直後にブォンっという風を斬る音と共にヴァルゲールが頭上を通り過ぎる。
ヴァルゲールの巨躯にかすることなくなんとかやり過ごした。
────かに思えたが……!
「────っあ!!!!」
後ろからもう1人の仲間の短い悲鳴が聞こえた。
急いで振り返るとどうやらかわしきれず、腹部にヴァルゲールの長い尻尾が直撃したようだ。
そのまま背負った仲間ごと天高く舞い上がり────
ゴキャッという嫌な音と共に頭から地面に叩きつけられた。
今の落ち方からして彼の戦闘不能は必至。
このままむくりと起き上がることは無いだろう。
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