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ヴァルゲールが動く気配は、もうない。
……やった! 奇跡は起こったんだ!
「やったぞアゲハ! 俺たちは助かったんだ!」
そう言おうとしたのも束の間。
アゲハは突然走り出した。
あいつは何をしようとしているのだろう?
ヴァルゲールはもう死んだのに。
そこまで考えそのヴァルゲールをが死んだ原因に思い至る。
そうだった。
空から人が降ってきて、ヴァルゲールの頭を貫いたのだった!
仮にその人が生きていたとしてもかなりの重傷を負っているはず。
とても1人で動けるような状態ではないだろう。
つまりアゲハは助けに行ったのだ。
俺たちを救ってくれた恩人を、ヒーローを!
俺もすぐにその人が落ちた場所へ駆け出した。
どうやらヴァルゲールのほぼ真下に落ちたようで大きなクレーターができている。
覗き込んで見ると丁度先に着いたアゲハがその人を抱きかかえ、安否を確認しているところだった。
そして震える声で呟いた。
「信じられねぇ……まるで無傷じゃねぇか……!」
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