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「なっなんだって!?」
流石に驚きを隠せなかった。
俺がどれほど頑張っても傷一つ付けることの出来なかったヴァルゲールの硬い鱗を傷付けるどころか頭を貫くほどのスピードで地面に激突したのに!
さらに近くに寄る。
顔立ちが整っており、大きな瞳と僅かな幼さもあいまって女性にも見えるがおそらくは男性だろう。
身長は160㎝ほどだろうか。
見たところ耳などに目立った特徴はなく、おそらく亜人種ではなく人間の男の子だ。
色素が薄く、明るいサラサラの茶髪は長く、腰まで届こうかというところまで伸びており、うなじの部分でゴムで束ねられている。
身に纏っている患者服は落下後に巻き上がった砂ぼこりと焼けた木の炭で汚れたのだろう、所々黒い汚れが付いている。
だが何より目を見張るのは彼が抱き抱えるまるで雪のごとく白い剣。
悪魔の本能が告げている。
これは危険だと……。
つまりこれは……。
「……聖剣……」
何故人間の少年が聖剣を……?
っと、そんなことより早く救助を呼ばなくては。
左手を左耳まで持って行き、気づく。
そうだった。
インカムは最初のカメレオトゥルスとの戦闘で壊れてしまったので捨ててしまったのだった。
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