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「…………エースを呼んでくる」
見た目に似合わず可愛い鈴のような声だった、がまったくと言っていいほど抑揚がなかった。
忍者はでそう言うと部屋の奥にあった木製のドアを開けて出て行った。
「……」
忍者の登場に驚き過ぎて1周回って冷静になってしまった。
改めて部屋を見回してみる。
部屋の中央にある丸テーブルと2脚のイス、それと壁に掛けられたら時計を除けばこれといって目に入る物はない。
僕がぼーっと部屋にある物を眺めているとドアがトントンっとノックされた。
「よぉ、具合はどうだ?」
ドアを開け入ってきたのは1人の青年。
男性にしては少し長めの漆黒の髪。
身長は僕よりかなり高く、制服……だろうか? 紺色のズボンにグレーのYシャツ。
首には青いネクタイを巻き、Yシャツの上に黒いブレザーを羽織っている。
そして何より特徴的なのはその顔。
赤い両目にスッと通った鼻筋。
もしこの場に10人の人が居れば全員一致で彼は美青年だと言うだろう。
けど、引っかかることがある。
この顔……どこかで……。
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