65人が本棚に入れています
本棚に追加
僕がジッと顔を見つめているのに気付き、青年は笑って言った。
「誰かに似てるってか? そりゃそうだろ、お前の記憶じゃそいつについさっきまで会ってたんだから」
「ついさっき?」
僕の中でのついさっきと言えば病院での出来事とイロハさんが真っ先に思い浮かぶ。
つまり────。
「俺の名前はアゲハ=サタンリビル。今お前が頭に思い浮かべた人の息子だ」
なるほど。
誰かに似ていると思ったらイロハさんに似ているんだ。
「ええと、僕の名前は神代准。実はイロハさんに────」
「あーいいからいいから、そこらへんはそのイロハのババアから聞いてっから」
「……」
仮にも自分の母親をババア呼ばりとは……。
「んで、何か質問はあるか? 答えられる範囲でなら答えるぞ?」
質問かぁ。
そういえばイロハさんに学校に通ってアゲハ君の手伝いをしろって言われただけで特に何をしろとは言われなかったな。
「えっと、僕はアゲハ君の────「アゲハ」え?」
「俺のことはアゲハでいい。俺もお前のこと呼び捨てで呼ぶから」
「うっうん」
……正直、今まで呼び捨てで呼び合える人なんていなくて……初めてだからちょっと恥ずかしいな……。
最初のコメントを投稿しよう!