act5 僕と契約と無能姫

8/33
前へ
/101ページ
次へ
「さて、これからどうしようかな……」 周囲に人の姿はない。 ということはここは大講堂とは全く違った場所なのだろう。 道に迷った時は人に聞くのが一番だ…………と、本に書いてあった気がする。 や、だって今までずっと病院のベッドの上で道に迷ったことなんてなかったし。 でもなぁ。 知らない人に声かけなきゃいけないのかぁ。 やだなぁ。 でも、そんなことを考えて何も行動しなかったら何も現状が変わらないのも事実。 「よし、これから歩いて一番最初に会った人に聞こう」 最初にちゃんと心構えをしておけばきっと大丈夫だ。 うん、僕はヘタレじゃない。 多分。 そんな決意をしてしばらく歩いてみる。 やっぱり人っ子1人いない。 途中やけに生徒が少ないなと思った時に引き返しておけばよかった。 自分の行動を後悔しながら歩いているとふと人影が見えた。 よしっ! これで大講堂に行ける! 人影の主は屈んで花を見ているようでこちらには気付いていない。 「……よっ、よ~し!」 こここっちから声をかけてみよう! だだっ大丈夫! 僕は決してヘタレてなんかいない!
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加