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そんな学校に僕は入学することになった。
どうやら僕は“同性愛者"らしい。
こんなのも引っ掛かるなんて正直納得出来ないが仕方無い。
「……でかいな」
近くで見るとそれなりに大きな校舎。やはり学校なんだと思う。
門をくぐり、昇降口まで歩く。
桜がある。とても綺麗だ。
「あっ新入生!ねえねえ卓球部どう?」
先輩と思われる女子に勧誘を受ける。正直僕は同性でも話すことが苦手だった。
「……あ…え、と」
「あっごめんね?やりたい部活だってあるもんね?」
「え」
ごめんごめんと謝り、女子は他の新入生らしき生徒に声をかけに行った。
見れば新入生らしき生徒は割と多い。こんなにいるものなのか。
「新入生?」
誰かが肩を叩く。
振り向くと、眼鏡をかけた男と目の細い男。
「…あ、はい……」
眼鏡の方は背が高くて、少し見上げてしまう。
「俺達も新入生なんだ。宜しくね」
細い目の男はにこりと笑う。
「……こちらこそ」
「君はどうして入学するの?」
どの生徒がどんな性癖なのかは公開するらしい。ならば言っても問題はないだろう。
「僕は…同性愛者で…」
眼鏡がひく、と反応した。
「そんなものまで引っ掛かるのかよ……」
「それくらい見逃してくれても良いよね」
どうやら自分の考えは間違っていなかったらしい。
「あ、俺は暁 君知。ヒエロフィリアだ」
眼鏡が先に名乗った。
ヒエロフィリア。宗教的なシンボル、聖なるもの……良く見れば、十字架のネックレスを付けている。
「俺は大杉 英。ハイグロフィリアなんだ」
ハイグロフィリア。分泌液……この人は少しやばいかもしれない。
「で、君の名前は?」
僕は名前よりも先に自分の性癖を公開する奴になってしまったらしい。
「……結城 裕也」
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