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俺は押し寄せる不安で押し潰されそうになりながら、優気子を助けに行く。
元科学室をおそるおそる覗き込んだりと、まだ煙が立ち込めていて、咳き込んだ。床も何もなくて、とても入れたもんじゃない。
「優気子ー! いるか!? いるなら、返事をしてくれ!」
サイレンの音が聞こえた。だんだん近づいてくる。
五分後に消防車と救急車と警察が来た。
即、消火活動が始まる。ニトログリセリンの爆発がここまで残酷なものとは知らなかった。科学室じゃなければ、引火することもなかったのに。
元科学室の辺りをうろうろしていると、即、止められた。消防隊員に。俺は、それどころじゃない。
「まだ残ってた生徒が、ここにいるはずだ!」
思わず大声になっていた。
科学室前で隊員と大喧嘩。他の人になんといわれようと、もう構わなくなってきた。
「人が残っていなかった様子です。君も、危ないから、ここへは近づかないで」
もしも優気子が死んでたら、どうしてくれるんだ!
食って懸かる。
「でも、本当に人が!」
「他を当たってください」
冷たく突っぱねられたので、俺はもっと先を行った。祈っていた。
優気子は爆発した場所から五十メートル離れた場所に倒れていた。具体的に言うと学校の裏門だ。どうやら、教室棟と正反対に逃げたようだ。
ダイヤモンドを見つけたようだった。
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