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早く優気子を助けないと。
「優気子、しっかりしろ!」俺は駆け寄った。
顔を叩く。反応がない。
俺は優気子を背負って出た。
思ったより、優気子は軽かった。
四十キロ代だろうか。
こいつ、ちゃんとメシ食ってんのか。
腐れ縁だけど、気付いたら、お互い成長してたんだな。
ゲームみたいに、まだ通れそうな場所を避けながら体育館に行こうとしたら、救急隊員の人が駆けつけてくれた。
「意識は、ありますか?」
隊員の人が優気子に話しかける。
優気子はすぐに意識が回復した。
「巧……今、どうなってる……?」
「お前のせいで散々だよ」
俺は、やっと笑えた。安心と疲れが同時に来た。
「そっか。皆、無事だといいんだけど」
帰宅部のやつは完全に助かったな。
「じゃあ、行ってくるね」優気子も笑う。
「大丈夫なようですね。外傷もありませんし。でも、念のため病院に」
「いえ、大丈夫です」優気子はぶんぶんと首を横に振った。
「念のため、CTやМRTの検査をしないと」問答無用で隊員は優気子を乗せた。
「付添いの方は?」
「顧問の私が」内林先生が申し出た。
「巧、ごめんね」優気子はしおらしく言う。「謝るとは珍しいな。早く行け」
優気子はすぐ搬送された。
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