第1話

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早く優気子を助けないと。 「優気子、しっかりしろ!」俺は駆け寄った。  顔を叩く。反応がない。  俺は優気子を背負って出た。  思ったより、優気子は軽かった。  四十キロ代だろうか。  こいつ、ちゃんとメシ食ってんのか。  腐れ縁だけど、気付いたら、お互い成長してたんだな。  ゲームみたいに、まだ通れそうな場所を避けながら体育館に行こうとしたら、救急隊員の人が駆けつけてくれた。 「意識は、ありますか?」  隊員の人が優気子に話しかける。  優気子はすぐに意識が回復した。 「巧……今、どうなってる……?」 「お前のせいで散々だよ」  俺は、やっと笑えた。安心と疲れが同時に来た。 「そっか。皆、無事だといいんだけど」  帰宅部のやつは完全に助かったな。 「じゃあ、行ってくるね」優気子も笑う。 「大丈夫なようですね。外傷もありませんし。でも、念のため病院に」 「いえ、大丈夫です」優気子はぶんぶんと首を横に振った。 「念のため、CTやМRTの検査をしないと」問答無用で隊員は優気子を乗せた。 「付添いの方は?」 「顧問の私が」内林先生が申し出た。 「巧、ごめんね」優気子はしおらしく言う。「謝るとは珍しいな。早く行け」  優気子はすぐ搬送された。
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