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ピンポンパンポン。校内放送が入る。
「教室に残っている教師。生徒は体育館に避難してください。避難訓練の通りに動くように」
科学室があった棟は倒壊の危険があり、立ち入り禁止になっていた。
「誰か! 誰かいませんか!?」
隊員の声が体育館まで聞こえる。拡声器を使っているようだ。
「皆、逃げられたようです! 軽傷者多数!」
優気子からケータイに電話がかかってきた。
「今、検査が終わって、家に帰るところ。内林先生に自宅まで送ってもらう」
「大丈夫だったか、優気子」
「うん、なにも問題なかったよ」
優気子は、なんとはなしに家に戻ったようだ。
次の日。俺のケータイに内林先生から電話があった。
職員室棟に行きながら優気子が喋る。
「でもさ、気が失った私を助けてくれたの、巧?」
俺は恥ずかしくなった。正直、自分でもびっくりしている。
「そうだよ、なんか文句あったか?」
「いや。ありがとう」
ふいに優気子から感謝の言葉を言われると、かなり照れる。
内林先生のところへ行くと、進路指導室に場所を移された。
警察の人もいて、ものすごく緊張した。
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