第1話

優気子の名前は〝気が優しい子〟という意味で優気子なのだが、性格はまるで正反対である。
　大きなぱちくりとした眼に、すうっと通った鼻梁、雪のような白い肌をしている。抱きしめたら折れそうな華奢な体、出るところは出た、モデルのようなスタイルをしている。
　見た目は完璧なので、勘違いして一目ぼれして告ってフラれるケースが多発している。
　優気子はおとなしそうな顔をしているが、やることは無茶苦茶である。
　例えば厳重に管理されている毒物＝液体青酸をコーラに混ぜるとどんな色になるか、とか、酸化マグネシウムをガスバーナーの中に落としたらどうなるか、とか。そういったことを常に考えている、由緒正しき危険人物なのである。
　今日も、何か企んでいるようである。