第1話

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俺は机に置かれた薬品に目を向けた。  グリセリン。まあ、別に危険物質ではない。  濃硫酸? 危険だぞ!? 「どっから取り出してきたぁ!」 「巧、うるさい」 「そういう問題じゃねぇ!」  俺はハリセンでスパーンと優気子にツッコミを入れたかった。 「しかも、濃硝酸って……」  俺はこの三つの薬品から一つの答を導き出した。 「ニトログリセリンだな!?」 「やだな~。誰もニトログリセリン作ろうなんて、思ってないよ」  優気子の目じりが、波打っている。 「思ってるだろ、その顔は!? 優気子、今すぐやめるんだ。そんな危ないことは、今すぐ!」  俺は、もう必死だった。これまで優気子の起こした騒動の尻拭いをしてきたのは、俺なのだから! 「だって、一回やってみたかったんだもーん」 「『だもーん』じゃねぇ! さっさとやめるんだ」  強めの口調で言った。 「でも~」 「『でも~』?」 「もう実験、始めちゃった、エヘ」  口調はふざけているが、優気子の手は、慎重だ。濃硝酸に濃硫酸を混酸させているからだ。急いで入れると沸騰、爆発して、大火傷する。
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