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俺は机に置かれた薬品に目を向けた。
グリセリン。まあ、別に危険物質ではない。
濃硫酸? 危険だぞ!?
「どっから取り出してきたぁ!」
「巧、うるさい」
「そういう問題じゃねぇ!」
俺はハリセンでスパーンと優気子にツッコミを入れたかった。
「しかも、濃硝酸って……」
俺はこの三つの薬品から一つの答を導き出した。
「ニトログリセリンだな!?」
「やだな~。誰もニトログリセリン作ろうなんて、思ってないよ」
優気子の目じりが、波打っている。
「思ってるだろ、その顔は!? 優気子、今すぐやめるんだ。そんな危ないことは、今すぐ!」
俺は、もう必死だった。これまで優気子の起こした騒動の尻拭いをしてきたのは、俺なのだから!
「だって、一回やってみたかったんだもーん」
「『だもーん』じゃねぇ! さっさとやめるんだ」
強めの口調で言った。
「でも~」
「『でも~』?」
「もう実験、始めちゃった、エヘ」
口調はふざけているが、優気子の手は、慎重だ。濃硝酸に濃硫酸を混酸させているからだ。急いで入れると沸騰、爆発して、大火傷する。
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