0人が本棚に入れています
本棚に追加
「悪いこと、してないもん」
「ニトログリセリン作ろうとした時点で罪だ!」
「巧がなんて言ったって、知らないもん」
ふくれっつらのままで実験を続けている。瓶を放そうとしない。
次の日。俺は保管庫の鍵を顧問に交渉に行った。
「先生、相談があるんですけど」
と俺は、先生に話を持ち出した。
「保管庫の鍵、もっと厳重にできませんかね?」
「それは、部長に言って予算会議で決定しないとな。でないと、鍵はつけられん」
優気子がいつものように社長出勤して来ると、科学室の保管庫に行って、嬉しそうに瓶に入ったニトログリセリンを五○○㏄持ってきた。
衝撃を与えると爆発するので、見ていて怖くなる。他の部員は知らないから平気だけど。
俺は危険を察知して
「みんな、今日の部活は、科学室から離れてしよう!」
「なんでですかー? 巧先輩」
俺は説明している暇がないので、とにかく部員に
「みんな! 離れたところに行って!」
「わかった!」
優気子の日頃の態度で、みな何かを悟っているようである。
最初のコメントを投稿しよう!