小さな勇気

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「めちゃくちゃ可愛いー…」 真っ白なタオルにくるまれた赤ちゃんを分娩台の上で抱っこする美穂ちゃんの隣で、すでに親バカモードの隼人が呟く。 俺にはまだ猿の赤ちゃんにしか見えないんだけど、美穂ちゃんが言うには隼人似だそうだ。 「翔人さんも抱っこしてあげて」 美穂ちゃんから託されて、俺も恐る恐る赤ちゃんを抱っこしてみる。 全てのパーツがちっこくて真っ赤な顔してて… 小さな手をぎゅっと握りしめて… やっぱ、めちゃくちゃ可愛い… …ん?俺も親バカモードか? だけどこんな小さくても必死に生きてるんだな… …なんか、すげー勇気を分けてもらってる気がする。 「チャラ男が移るから返せ」 そう言いながら俺から赤ちゃんを取り上げる隼人に苦笑い。 これでも俺、一応あの中山の一件以来チャラ男は封印してるんだけど…。 「だけど美穂ちゃん、あんなに苦しそうだったのに… 本当に良く頑張ったね」 産む時の美穂ちゃんの苦しみは、隼人が耐えられなくなるほどだったし 実際俺も隣で見てて、見てるこっちが辛くなるくらい苦しそうだった。 「うふふ…愛する人の為ならどんな困難だって乗り越えられるもんですよ」 ニコリと笑って言った美穂ちゃんの言葉が俺の胸に突き刺さった。
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