剥がされた仮面

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リョウと過ごした夜から1ヶ月。 あれ以来リョウとは会っていない…。 なんだか連絡しずらくて俺は戸惑っていた。 コートを羽織る事も減り始めたある日の朝…。 ついに親父はこの世を旅立った。 連絡を受けて、すぐに向かったのに… 最期まで俺にすら弱みを見せなかった親父は、俺が病院に着く5分前に息を引き取った。 親父に繋がれていた機材が次々と外されて行くのを、ただじっと見つめながら俺はその現実を受け止めた。 親父… 心配すんなよ… 俺も親父みたいにこれからも家族を守って行ってみせるから。 最後に一瞬だけでも俺を自由にしてくれてありがとう。 それだけで俺は十分だったよ。 そう思いながら立ち尽くしていると、ドアが開いて隼人と鷹人が飛び込んで来た。 「親父らしいよな… 俺でさえ、死にぎわに会わせてくれなかったよ…」 ポツリと言った俺の言葉で、鷹人が号泣する。 コイツも俺と同じなんだろう… 親父にただ褒められたくて頑張って来た鷹人。 だけど、感情を表に出せるだけ、俺よりずっと人間らしいヤツだと思う。 声をあげて泣き続ける鷹人の肩をそっと叩き、 黙って涙を零してる隼人を見つめながら俺は思った。 親父… 3人も自慢の息子がいたアンタは幸せな人生だっただろう? 今までお疲れ様…。 親父の人生は俺が繋いで行く。 だから… もうゆっくり休んでくれよ…。 俺は大丈夫。 藤森家の長男だから。 病院の窓の外には誇らしげに花を咲かせる沈丁花。 …もう…春なんだなぁ… そう思いながら俺は天を見上げた。
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