小さな勇気

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翌日、朝一番の新幹線で隼人のいる支社に向かった。 新幹線の駅まで迎えに来てくれた隼人が改札の向こうで手を振ってる。 「よう、久しぶりだな」 「おう、兄貴も元気そうだな」 「まぁな…」 短い会話だけでお互いの気持ちが繋がるのはやっぱり兄弟だなと思う。 俺的には、いじり甲斐のある隼人が支社勤務を申し出た時はショックだったんだけど。 全ては美穂ちゃんとその両親を守るためだったから、認めざるを得なかった。 役員会議にWEBカメラで参加するあたりはネットに明るい隼人らしい試みで笑えたけど。 直に会って話すのは、隼人の結婚式以来だ。 来年には、鷹人も5年も付き合って来たドM女と結婚するし… 長男の俺だけが結局先に進めないままな気がする。 「美穂ちゃんのお腹は順調か?」 「ああ、予定日まであと10日。 ずっとお腹に向かって胎教して来たから絶対に頭のいい子が生まれるぞ」 フフンと鼻を鳴らしながら言う隼人は予想通りの親バカっぷり。 産まれる前からこんだけ親バカなんだから、産まれたらどーなるんだか… 「産まれてもちゃんと仕事しろよ」 俺の言った言葉に、ピクリと隼人の体が揺れる。 「…産休制度は、ねーのか?」 「バカ野郎!専務に産休なんてあるか!」 チッと舌打ちしてる隼人に大笑いしながら支社へと向かった。
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