マタドールの甘い誘惑

10/13
前へ
/32ページ
次へ
私と目が合ったら、一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにその表情はあの不敵な笑みに変わる。 …今度は、アンタの仕掛ける罠になんか絶対嵌らないから。 私は鋭い視線で太田を睨みつけてやった。 一通り挨拶を終えて、外注デザイン部に配属された私は、美穂とは離ればなれにされてしまう。 「じゃデスクの配列だけど、俺と倉田をこの位置にして… 工藤と椎名を向い合せ、その向こうに柏木と太田にするから」 藤森隼人の指示で、さっきの熱い視線のウザい男、工藤君が一生懸命デスクを動かし始めた。 「柏木は、そこに届いてるパソコンのセットアップ出来るか?」 「はい、大丈夫です」 「ん。 じゃイラストレーターとフォトショップはここにあるから。 あと、ドリームウィーバーとホームページビルダーのインストールな」 WEBデザインに必要なソフトを一通り手渡されて、私は新しいパソコンの電源を入れる。 女にはだらしないくせに、仕事の指示は的確で無駄のない藤森隼人。 なんかやっぱこの男、胡散臭くて気に入らないなーと思いながらセットアップを始めた。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

503人が本棚に入れています
本棚に追加