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私だってもう30歳。
これまでにだって人並みに恋もして来た。
結婚を意識した人だっている。
デザイン学校の頃の同級生。
創作するイメージがいつも被って、お互いが意識するようになって…
7年も彼だけを愛して来たのに…
結婚したら一緒にデザイン会社作ろうって約束までしてたのに…
『梓は強いから一人でも大丈夫だよね?』
そう言って彼は、同じ会社の女の子と突然結婚した。
そう…ちょうど椎名さんみたいな…
ふわふわの綿菓子みたいな可愛らしい女の子だった。
捨てるんだったら殺してよ…
そう思うくらい辛かった。
私は本当はそんな強い女じゃないのに…
ちゃんと支えて欲しかったのに…
だから私は彼と別れてから自分にずっと言い聞かせて来た。
『ひとりで生きて行ってみせる』
そうするしか彼を見返してやれる方法がなかったから。
そんな私の変化に気づいてくれたのが美穂だった。
「無理しなくていいんだよ?
梓が一人で泣けないんだったら、私が一緒に泣いてあげる」
そう言ってくれた美穂にすごく救われた。
だから…私は美穂には本当の幸せを掴んで欲しいって思う。
あの子だけは…私が守るんだから…。
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