魅せられて…

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3Fでエレベーターを降りて自販機コーナーに入って行くと、 私の目に飛び込んで来たのは、壁際に槙田さんを追い詰めて腕を掴んでる太田の姿だった。 「太田!アンタ何してんのよ!」 私の声に、ゆっくりと振り向いた太田は不敵に笑った。 「おやおやこれは柏木さん。 相変わらず空気の読めない人だね。 見て解らない? 今、俺は槙田さんを口説いてんの」 私はツカツカと太田に近づいて、槙田さんの腕を掴んでる太田の腕を剥ぎ取って離れさせた。 「槙田さん、ごめんね。 コイツ頭おかしいから! 何もされなかった?」 「あ…あの…はい…」 戸惑う槙田さんを見つめながら太田がクスクス笑う。 「ねぇ槙田さん、ホントは藤森部長と付き合ってるんでしょ?」 笑いながら言う太田に、槙田さんはビクビクと怯えながら言い返した。 「だから…何度言ったら解ってくれるんですか? 藤森部長と私は関係ありませんから… 部長の持ってるものを奪うとか意味解らないです…」 …は? 何それ? 「槙田さん、太田に何言われたの?」 私の質問に槙田さんはオドオドしながら答えた。 「藤森部長が…太田さんの大切なものを奪ったから、太田さんも藤森部長の大切なものを奪うって…」 「はぁぁ??」 私はキッと太田を睨んだ。 やっぱり不敵に笑みを浮かべながら太田が言う。 「アハハ!槙田さんはやっぱり藤森部長が好きなんだねぇ」 そう言ってクックと笑い続ける目の前の鬼畜に私の怒りが爆発して行く。
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