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駅で待ち合わせた美穂はやっぱり不安そうにオドオドしてる。
「大丈夫よ、私がついてるから!
それより今日はどこに飲みに行く?」
美穂の肩をポンと叩いてやると、やっとニコリと笑った美穂がいい出した。
「この前、部長に連れてって貰ったお店、すごくいい感じのお店だったから、梓も気に入ると思うよ…?」
あのチャラそうな男のオススメの店ってのが引っかかるけど…
思わずそのままが口に出る。
「ふーん…あの女癖の悪そうな部長ね」
「………うん」
あれ?なんで美穂がそこで残念そうな顔してるかな?
そんな疑問を感じつつも私は
「まぁいいわ!よし、じゃその店行こう!」
と微笑んでやると、ぱあっと明るい表情で頷いた美穂が私の手を引いた。
美穂と向かった店の名前は
『Moon Drops』
ドアを開けた途端、目に飛び込んで来たのはブルーの間接照明に照らされた不思議な空間。
まるで深い海の底のようで綺麗なお店…。
戸惑って足を止めた美穂にぶつかりそうになって
「美穂?」
と声をかけた時、
「あれ?倉田さんこんばんわ」
とモデルみたいに綺麗な女の子が美穂に声をかけた。
…が、
その向かいには顔を引きつらせてるあの藤森隼人の姿。
…女連れて何してんのよ、このチャラ男!
あっちにもこっちにもいい顔して、女を翻弄する遊び人!
ちょっといいオトコだからって調子づいてんじゃないわよ!
すっかり落ち着きを失くした小動物みたいなその男を私はじっと睨みつけてやった。
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