マタドールの甘い誘惑

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「ご注文は何になさいますか?」 ふわりとした心地いい声。 グラスを磨く綺麗な指先。 細くて長くて… ピアニストみたいにしなやかに動くその指先に思わず見とれる。 「私はギムレット。 梓は何にする??」 私を覗き込んで聞いて来た美穂に、ハッとして我に返った。 「あっ…と…な…何にしようかな…」 私ったら何を見とれちゃってんの? 最近、男もご無沙汰してるからかな…? いやいや、私はもう恋なんてしないんだから! 一人でたくましく生きてくって決めたでしょ! 心でひとり突っ込み、焦りながらメニューを見てたら、 「お任せ…して頂いてもよろしいですか?」 やっぱりやんわりと微笑みながら言う智也さんに、さっきの無礼なんてすっかり忘れて素直にコクンと頷いた。
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