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「さて…」
女将さんとひとしきり世間話をした後、俺はこの村の地酒と牛肉のステーキを頼んだ。ここしばらくは携帯食料と干し肉しか食べてないので、こういう料理は久しぶりだ。
「はい、おまちどお!」
女将さんがステーキと酒の入ったジョッキを持ってきた。肉の焼ける香ばしい匂いに思わず涎が出そうになるが、なんとか堪える。
「んじゃ…いただきます。」
俺がしばらくいた東国の島国では、食べる前に『いただきます』という習慣があった。俺はその風習が気に入っている。
…っと…まずはステーキから…。肉を一口サイズに切り分けて…。付け合わせの野菜と一緒に食べる。
…うん、美味い。『肉』って味だ。一緒に食べた野菜が味を更に引き立てる。色々味付けしたヤツもいいが、やっぱこういうシンプルな料理が男の味だよな。
そして酒を一口。うん、美味い。すっきりしていて肉の味を邪魔しない。ささやかな贅沢って感じだ。
そして、付け合わせの芋が美味い。女将さんの味付けは、素材の味も活かしてる。素晴らしい。是非とも調理方法を知りたい。
そんな風に俺が飯を食っていると、宿屋の扉が乱暴に開かれた。
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