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スワロー国全土を震撼させた急進派事件から何日かが過ぎていた。
この日スワロー国有数の港町ゴッドアにあるゴッドア港扶桑国海軍司令部の一室では、一人の男性が面会中である。
歳の頃は三十代半ば。
短く刈り込まれた髪は黒で瞳の色は焦げ茶色。
肌の色は文字通り肌色であった。
体格は所謂中肉中背の筋骨隆々で、身長は扶桑国同年代の男性平均よりもやや高い。
そんな彼は白い詰め襟の制服…扶桑国海軍第二種軍装を纏っているのだが、如何なる理由からか制服の両肩には階級章がついていなかった。
制服の上腕部付近に裁縫の痕跡が見られない事から、彼が下士官ではない(扶桑国海軍の下士官は、制服の上腕部付近に階級章を縫い付けている)事が窺える。
そして彼の傍らには、巡邏隊(じゅんらたい)と書かれた腕章を制服の左腕に巻いた水兵が、扶桑国陸軍ベ式機関短銃(ヒンデンマルク共和国のベルグマンサブマシンガンをライセンス生産したもの)を構えて立っていた。
やがて対魔法処理が施された10㎜防弾ガラス越しに、彼の真正面に座っている女性が口を開く。
その女性は一見12歳位の少女に見えるのだが、よく見れば彼女も扶桑国海軍の士官である事が分かるだろう。
なぜなら彼女も扶桑国海軍第二種軍装姿であり、両肩には海軍大佐の階級章がついているのだから。
「食事はきちんと摂りなさい。
ハンス、50点」
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