♯1 沙和子と那智

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             Ⅰ    都内某所。  高層ビルが立ち並ぶ、夜のオフィス街の中心で私は空を見上げてた。 「星、見えないな……」  夜のオフィス街が明るいからじゃない。私のいる場所がボンヤリ微妙に明るくて、その上の星空が見えづらいだけ。  そこで私は、友達を待っている。  待っている……  待ってる……  待たされてる……  かれこれ一時間半ほど待ってるけど、待ち人が来る気配は微塵も無い。  それでも待ってる私……  場所は、知り合いのやってる屋台のバー。
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