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 ――これからは放送部室以外でも、毎日一緒にいられる。  わたしの胸は高鳴り、希望に満ち溢れた。  でも…。  実際には、そう期待通りにはいかなかった。  担任になってからの先生は以前よりずっと、私に対して教師という立場を守るようになった。  つまり、――他の生徒たちと同じようにしか、接してくれなくなった。 「………永井。……奈良崎」 「ふぁー……い」  奈良崎彩加があくび交じりに返事をするのは、いつもの光景だ。 「奈良崎。女の子なんだから、返事とあくびは別々にしなさい」 「はいはい」 「ハイは一回」 「……。はいっ!」  むくれる彩加の方を見ると、わたしと目が合った瞬間、ニッと人懐っこい笑顔をくれた。  3年になってから同じクラスになった彩加は、去年まで放送部の部長だった奈良崎先輩の妹だ。  そして田辺くんの彼女でもある。  二人はとても仲良しで、見ていていつも羨ましくなってしまう。  彩加たちと同じようにするのは無理かもしれないけれど、…先生が、せめてもう少しだけ、わたしに特別をくれたら、と思う。 「それじゃ、予防接種についての手紙、配るよ。ちゃんと家の人に見てもらうように」  頬杖をついたまま、わたしは列ごとにプリントを分配する先生の顔を見つめた。  何度見ても、見惚れてしまう。声を聞くだけで、胸が高鳴る。  どんどん、…好きになって行く。  それなのに。  …3年生になってから、先生は一度も、私にキスをしていない。
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