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真っ暗な視界に顔を埋めていると、後頭部にポカ、と軽い衝撃があった。
机に突っ伏していた顔を上げ、……再び伏せる。
「ほれっ。…さっさと行くぞ、椎名。子供じゃないんだから」
田辺くんの優しく叱る声に、イヤイヤと首を振る。
「…や。行きたくない」
「や、って…お前…」
田辺くんが、困ったようにため息をつく。
「別にいいじゃん、サボっちゃえば。たまにはあのドS男、困らせてやった方がいいんだよ、萌はいつも従順でおりこうさん過ぎなんだからさっ」
後ろの方から、彩加のわくわく感あふれる声がする。
「奈良崎。お前、面白がってんなよなぁ。
…椎名、ダメだよ。もう引き継ぎの2年生も連れて来ちゃってるんだしさあ」
「……」
…だって…。本当に行きたくないんだもん…。
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