-2-

5/10

1049人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
 自分でも嫌になるくらい、今日のわたしは聞き訳がなかった。  こんなにも木曜の放課後が辛いのは、初めてだ。  放送部室に早く来い、と言われていたにも関わらず、わたしはズルズルと時間稼ぎをしながら行くのを引き延ばし…。  しまいには、なかなか部室に現れないわたしを、先生の指示で田辺くんが迎えに来たのだった。 「もう、余計に行けない……だって、春山先生、絶対に怒ってるもん」 「だから全然怒ってなかったって」 「いやあー、怒ってると思うよ?行かないほうがいいんじゃん?」 「こらっ奈良崎!話がややこしくなるから黙ってろよ」 「だってさあ、萌がこんなグダグダになるなんて、初めての事だし、よっぽど嫌なんだよ、分かってあげなよ」 「お前、絶対面白がってるな」 「違うってば。私はただ、春山先生のこともたまには困らせてやりなって…。」 「失礼しまーす」  突然の声に、わたしたち3人は揃って教室の出入り口を見た。  すたすたと入って来たのは、更科ミツル。 「助けに来たよ、椎名先輩」  そう言ってにっこり笑う。 「一緒に、逃げてあげる」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1049人が本棚に入れています
本棚に追加