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自分でも嫌になるくらい、今日のわたしは聞き訳がなかった。
こんなにも木曜の放課後が辛いのは、初めてだ。
放送部室に早く来い、と言われていたにも関わらず、わたしはズルズルと時間稼ぎをしながら行くのを引き延ばし…。
しまいには、なかなか部室に現れないわたしを、先生の指示で田辺くんが迎えに来たのだった。
「もう、余計に行けない……だって、春山先生、絶対に怒ってるもん」
「だから全然怒ってなかったって」
「いやあー、怒ってると思うよ?行かないほうがいいんじゃん?」
「こらっ奈良崎!話がややこしくなるから黙ってろよ」
「だってさあ、萌がこんなグダグダになるなんて、初めての事だし、よっぽど嫌なんだよ、分かってあげなよ」
「お前、絶対面白がってるな」
「違うってば。私はただ、春山先生のこともたまには困らせてやりなって…。」
「失礼しまーす」
突然の声に、わたしたち3人は揃って教室の出入り口を見た。
すたすたと入って来たのは、更科ミツル。
「助けに来たよ、椎名先輩」
そう言ってにっこり笑う。
「一緒に、逃げてあげる」
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