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放送部室の前に立ち、ドアを見上げる。
――入りづらい。
この上なく入りづらい。
逃げ出したい気持ちを何とか奮い立たせ、大きく深呼吸をしてからコンコン、と扉をノックする。
「どうぞ」
春山先生の声だ。
わたしはそっと部室のドアを開けた。
「あれ……」
見回すと、テーブルに着いているのは春山先生だけだった。
わたしの方は見ずに、投稿用紙に目を落としている。
「引き継ぎは、終わったんですか」
春山先生は、ちら、と目線を上げた。
「また改めて、って事で、帰ってもらった。椎名が居ないんじゃ、話にならないだろ」
「…すみません…」
わたしは俯いたままぺこりと頭を下げた。
「もういいから。こっち、おいで。…これ、半分読んで」
「はい…」
しょんぼりしながらドアを閉め、先生の向かいに座る。
「違う。…こっちだって」
先生は、自分の隣の椅子を指差した。
「え…」
戸惑いながら先生の顔を見ると、…そこに浮かんでいるのは、ちょっとだけイジワルな表情。
…出た…。…久々の、いじめっ子…。
心臓のドキドキが、急速に速くなる。
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