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簡単な引き継ぎ作業を行い、放送部室の外に出た時には、すっかり暗くなっていた。
「家まで、送って行くよ」
部室の鍵を閉めながら、春山先生が言った。
「…えっ…」
「遅くまでかかっちゃったからさ、打ち合わせ」
――これって、ものすごくラッキーなんじゃ…。
嬉しさのあまり緩む頬を必死で抑え、いいんですか、と聞こうとした時、
「いいんですか?嬉しいっ」
春山先生を挟んだ向こう側から、加賀月子が可愛く声を上げた。
…そう、だよね…。二人きりのわけ、ないか…。
わたしはがっくりと肩を落とした。
やけに楽しそうに話す二人の後ろについて、渡り廊下を渡る。
「俺、ちょっと職員室に寄りたいから、駐車場で待っててくれる?10分くらいで行くから」
先生は月子ちゃんの方にそう声をかけると、職員室の方に歩いて行った。
「……」
2人きりにされると、気まずいんですけど…。
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