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彩加の悲鳴が教室中に響き渡り、春山先生の横顔をぼんやり見ていたわたしは、びくっと我に返った。
「いやだあ、またこんなのっ!!」
彩加は今にも泣きそうな顔をして、天を仰いでいる。
黒板を見ると、委員長のヒロシくんが書いた汚い字で、文化祭の出しものの候補が五つほど箇条書きされていた。
メイド喫茶、たこ焼き屋、などが並ぶ中、『映画・学園七不思議&七不思議喫茶』に大きな○がつけられている。
「春山先生!」
彩加が手を上げる。
「これ、けしからんですよね。深夜の学校に入って撮影なんて、許されがたしですよね!!」
「いや」
春山先生は澄まし顔で、
「去年も似たような企画、あったよ。…大好評だったから、やる価値あるんじゃないの?
学校にはちゃんと、許可取っておくから」
彩加は机にゴン、と突っ伏した。
「それじゃ、これに決定します!」
ヒロシくんが嬉しそうに宣言し、一人で大きな拍手をした。
「それでは続きまして…撮影班と編集班、それと出演者と、小道具…」
次は係を決めるらしい。
わたしは頬杖をついて、窓の外を見た。
まだ授業中なのに、すでに陽が頼りなく傾き始めている。
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